相続登記の依頼先を選ぶ際、「どこに頼んでも同じ」と思われるかもしれませんが、
実際には事務所ごとに対応範囲や進め方に大きな違いがあります。
失敗しないための3つのポイントをご紹介します。
ポイント1|戸籍収集や協議書作成まで含めた「一括対応」ができるか
登記だけお願いしたら、『戸籍は自分で集めてください』と言われて困りました…
相続登記は、登記申請だけでは完結しません。
戸籍の収集、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成など、事前の準備が実は一番大変です。
相続登記を申請するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍、相続人全員の現在の戸籍、住民票、不動産の固定資産評価証明書など、数多くの書類を揃える必要があります。被相続人が転籍を繰り返している場合は、全国各地の役所に請求する必要があり、郵送でのやりとりだけでも数週間かかることは珍しくありません。
さらに、相続人が複数いる場合は遺産分割協議書の作成も必要です。不動産の表示方法は登記簿上の正確な記載に合わせる必要があり、地番・家屋番号の一字一句の誤りで法務局に受理されない事態が起こり得ます。
「登記申請だけ」ではなく「戸籍収集・協議書作成・登記申請」まで一括で対応してくれるか、また対応範囲がプランごとに明確になっているかを確認し、自分の状況に合った範囲をカバーできる事務所を選ぶことが重要です。
ポイント2|費用が事前に明確になっているか
最初に聞いた金額と、最終的な請求額が全然違っていて驚きました…
相続登記の費用は、不動産の数や相続人の構成によって変わります。だからこそ、着手する前に「何にいくらかかるのか」を明確にしてくれる事務所を選ぶことが大切です。
相続登記の費用は、大きく分けて「司法書士報酬」と「実費」の二つで構成されます。実費には、登録免許税(不動産評価額の0.4%)、戸籍・住民票の取得手数料、郵送費などが含まれ、不動産の評価額や戸籍の通数によって変動します。
問題になりやすいのは、見積もりの段階で実費が含まれていない、あるいは「一律○円〜」という表記で最低限のケースしか想定していないケースです。手続きを進めてから「不動産が複数あったので加算されます」「戸籍が多かったので追加費用が発生します」と言われ、当初の説明と大きく異なる請求になった、という声は少なくありません。
着手前に「司法書士報酬」と「登録免許税・各種実費」を合わせた総額の見積書を書面でもらい、追加費用の条件も確認した上で依頼を判断しましょう。「何にいくらかかるのか」が事前に見えることが、安心して任せられる事務所の最低条件です。
ポイント3|相続後の不動産活用まで見据えた提案ができるか
登記は終わったけど、この家をどうすればいいのか、結局分からないままです…
相続登記は「ゴール」ではなく、むしろ「スタート」です。
登記を終えた後に、不動産をどう活用するか、売却するのか、残すのか。そこまで見据えた提案ができるかどうかが、良い専門家の条件です。
相続登記が完了して名義が変わった後、「この不動産をどうするか」を考える段階が訪れます。そのまま住み続ける、賃貸に出す、売却する、あるいは相続土地国庫帰属制度を利用して手放す、といった選択肢がありますが、それぞれにメリット・デメリットと税務上の影響があります。
たとえば、相続した不動産を売却する場合、売却益に対する譲渡所得税が発生します。しかし「相続税の取得費加算」や「空き家の3,000万円特別控除」など、条件を満たせば税負担を大幅に軽減できる制度があります。これらは適用に期限があるため、登記の段階から売却の可能性を見据えた準備が重要です。
「登記が終わった後の不動産活用(売却・賃貸・管理・国庫帰属)について相談できるか」「税理士や不動産会社との連携体制があるか」を確認し、登記のその先まで見据えた提案ができる事務所を選ぶことが、結果的に最もスムーズな相続につながります。