事例の背景
T.U様は離婚歴があり、現在は戸籍上の婚姻関係にはない内縁の妻と長年一緒に暮らしてきました。二人の間に子どもはおらず、T.U様にとって妻は精神的にも生活の面でも欠かせない存在でした。そのため「自分が亡くなったときには必ず彼女に全財産を託したい」という強い気持ちを持たれていました。
しかし、内縁の妻には法的な相続権がなく、このままでは思い通りに財産を残すことができません。そのことを知ったT.U様は「どうすれば自分の希望を確実に叶えられるのか」と不安を感じ、専門的なサポートを求めて当事務所にご相談くださいました。
当事務所からのご提案
T.U様のご意向を踏まえ、当事務所では以下の解決策をご提案しました。
- 全財産を内縁の妻に遺贈する旨を明記した公正証書遺言の作成
自筆証書遺言では形式不備や紛失のリスクがあるため、公証役場で作成する公正証書遺言を推奨しました。これにより法的に確実な効力を持たせることが可能になります。 - 予備的遺言の盛り込み
内縁の妻が依頼者より先に亡くなる可能性もあるため、その場合にはどのように財産を承継させるのかを明記。これにより、将来的に「遺言が効力を失う」という事態を避けられるようにしました。 - 遺言執行者の指定
遺言が有効であっても、実際に手続きを進める際に相続人間で混乱が生じるケースは少なくありません。そこで当事務所または信頼できる第三者を遺言執行者に指定し、遺言内容が円滑に実行される体制を整えました。 - 公証人との事前調整とスムーズな手続き
公証人と綿密に打ち合わせを行い、遺言内容の法的整合性を確認。必要な書類の準備や日程調整も当事務所で行い、依頼者の負担を最小限に抑えました。 
これらの提案により、T.U様の「希望を確実に形にすること」「将来の不測の事態に備えること」「安心して生活できること」という三つの課題を解決できる体制を整えました。
解決までの流れ
- 財産内容と希望を丁寧にヒアリング
 - 遺言原案を作成し、法的整合性を確認
 - 内縁の妻への遺贈内容に加え、予備的遺言を盛り込み
 - 遺言執行者を指定し、遺言実行時のトラブルを予防
 - 公証役場で公正証書遺言を作成し、正式に完成
 
結果
- 内縁の妻に確実に財産を遺すための遺言を整備
 - 予備的遺言により将来的な不測の事態にも備えることができた
 - 遺言執行者の指定により、実行時の不安も解消
 - 依頼者の希望を確実に反映した安心できる形での遺言完成
 
お客様の声
「ずっと心の中で“このままでは彼女に財産を残せないのでは”という不安がありました。でも先生に相談したことで、自分の希望をきちんと形にする方法があると分かり、安心しました。
特に予備的遺言という考え方は初めて知りました。『万が一のことまで考えておくと安心ですよ』と説明していただき、将来に備えることができて本当に良かったと思います。
手続きは煩雑で難しいものを想像していましたが、先生が一つひとつ丁寧に説明してくださり、公証人との調整まで全て任せられたので、とてもスムーズでした。
今は“これで彼女にきちんと財産を託せる”と自信を持って言えます。長年抱えていた漠然とした不安がなくなり、本当に心が軽くなりました。心から感謝しています。」