事例の背景
祖父母は施設で寝たきりの生活を送っており、日常生活においても体力的な不安を抱えていました。その中で「自分の財産の行き先をはっきり決め、家族に迷惑をかけたくない」という強い希望を持たれ、遺言作成を望まれました。しかし、自筆証書遺言では不備や無効になるリスクがあるため、確実に効力を持つ公正証書遺言を選択されました。
依頼者であるM.E様は東京在住で、札幌との距離があることから「限られた帰省の間に、信頼できる専門家にすべて任せたい」と考え、当事務所にご相談くださいました。
当事務所からのご提案
当事務所では、祖父母の体力・意思能力の確認と、遠方に住む依頼者の事情を踏まえ、次のようなサポートを実施しました。
- 事前面談と意思確認
施設を訪問し、祖父母お一人ずつ丁寧にヒアリング。意思が明確であることを確認し、公証人に報告書として提出しました。 - 本人確認資料の整備
印鑑登録証明書や写真付き身分証が揃わない状況であったため、公証人と事前協議を行い、複数の公的証明書を組み合わせる方法で対応。書類不備による延期を避けました。 - 公証人との日程調整
依頼者の帰省日程と施設のスケジュールを踏まえ、短期間で公証人が出張できるように調整。全関係者が無理なく参加できる体制を整えました。 - 施設内での短時間手続き
祖父母の体調に配慮し、当日の公正証書遺言作成はできる限り短時間で完了。必要な説明は事前に済ませ、当日は署名・押印を中心とした負担の少ない流れにしました。 - 将来を見据えたアドバイス
遺言執行者の指定を行い、遺言の内容が確実に実現できるように整備。依頼者には、将来の相続発生時の流れについても解説し、不安を軽減しました。
解決までの流れ
- 施設で祖父母と事前面談し、意思能力を確認
- 公証人へ報告書を提出し、日程を調整
- 本人確認資料を整備し、手続きの準備を完了
- 公証人が施設へ出張し、公正証書遺言を作成
- 祖父母2名分の遺言が無事完成
結果
- 移動困難な祖父母でも施設内で遺言作成が可能に
- 公正証書遺言を整備し、将来の相続に向けた不安を解消
- 遠方に住む家族も安心し、精神的な負担が大きく軽減
- 短期間での対応により、依頼者の帰省中に全手続きが完了
お客様の声
「祖父母が施設から出られない状況で、“本当に遺言を作れるのか”と心配していましたが、先生がすべて調整してくださり、短期間で遺言を完成できました。
本人確認の書類が揃わず不安でしたが、公証人と協議して工夫してくださったおかげでスムーズに進みました。祖父母の体調に合わせて短時間で終わらせていただけたのも、とてもありがたかったです。
私は東京に住んでいて、札幌との距離もあり不安でしたが、やり取りを細かく報告していただけたので、離れていても安心して任せられました。今回お願いしていなければ、これほど早く整えることはできなかったと思います。
祖父母の気持ちをきちんと形にできたことに心から感謝しています。」