事例の背景
Y.M様は、一人暮らしの生活を送る中で、普段から身近に支えてくれる甥に「将来は財産を遺したい」と考えていました。しかし、相続における法定相続人は兄弟であり、このままでは希望通りに財産を託せないことを知り、大きな不安を感じていらっしゃいました。
新聞やテレビで「遺言がないと相続で揉める」という報道を目にし、自分も準備をしなければと考えるようになったものの、自筆証書遺言は形式が厳格で、少しの不備でも無効になる可能性があると知り、「安心して残すには難しい」と感じたそうです。
また、公正証書遺言なら確実であることを理解しながらも、必要書類の準備や公証人役場とのやりとりが複雑に思え、専門家の力を借りることを決意されました。
当事務所からのご提案
ご相談を受けた際、Y.M様の最大の希望は「甥に財産を遺すこと」と「兄弟には財産を渡さないこと」でした。当事務所では、この希望を法的に有効で実現するために以下のご提案を行いました。
- 遺贈による公正証書遺言の作成
甥に財産を渡すには、相続ではなく「遺贈」という形を取る必要があります。そのため、公正証書遺言を作成し、甥に不動産や預貯金を確実に承継できるように設計しました。 - 兄弟に財産を渡さない意思の明確化
付言事項に「なぜ甥に財産を託すのか」という依頼者の思いを残しました。法的拘束力はないものの、将来的な争いを未然に防ぐために大きな効果があります。 - 財産の具体的記載
不動産については所在地・地番を、預貯金については金融機関名・口座番号を明記。曖昧な記載で発生しがちなトラブルを防ぎ、甥がスムーズに手続きを進められるよう配慮しました。 - 公証人役場との全面調整
Y.M様が煩雑なやりとりをする必要がないよう、必要書類の収集、公証人との内容調整、日程調整までを当事務所で代行。当日は公証役場に同行し、証人としても立ち会いました。
これらにより、Y.M様の希望を法的に確実な形で実現し、将来の安心につながる遺言書を完成させました。
お客様の声
「自分一人で公正証書遺言を作ろうとしても、きっと途中で挫折していたと思います。司法書士の先生にお願いして、必要な書類から公証人役場のやりとりまで全部任せられたのは本当に助かりました。
兄弟には財産を渡したくない、甥に感謝の気持ちを形にしたいという思いを、きちんと遺言に残すことができて心から安心しています。もし自分でやっていたら不備で無効になる可能性もあったと思うと、専門家に依頼して本当に良かったと感じています。これでようやく将来に備えることができました。」