事例の背景
K.S様は、東京都にお住まいで、札幌に一人で暮らすお父様の生活を日頃から気にかけていらっしゃいました。最近、物忘れが目立つようになり、「もし認知症になったら財産管理や日常の生活費の支払いができなくなるのではないか」という強い不安を感じるようになったそうです。
成年後見制度について調べる中で、家庭裁判所の監督下に置かれ、日常の支出にまで制約がかかる点に懸念を持ち、「もっと柔軟に財産を管理できる方法が必要だ」と感じました。また、遠方に住んでいるため、自分自身が頻繁に札幌に赴いて対応するのは現実的ではなく、効率的で確実な仕組みを整えておく必要性を実感されました。
そこでインターネットで「家族信託」の仕組みを知り、「これなら父の生活を守れるかもしれない」と感じ、司法書士に相談することを決断されました。
当事務所からのご提案
ご相談を受けた際に最も重視したのは、「お父様が認知症になっても安心して財産管理と生活が続けられる仕組みを作ること」でした。当事務所からは以下の解決プランをご提案しました。
- 家族信託契約の設計
お父様を委託者兼受益者、K.S様を受託者とし、信託契約を公正証書で作成。元気なうちに契約を結ぶことで、将来的に認知症になってもK.S様がスムーズに財産管理を行える体制を整えました。 - 信託財産の範囲設定
不動産と預貯金を信託財産とし、生活費・医療費に充てられるよう設計。これにより「日常に必要なお金の流れが滞らない仕組み」を確立しました。 - 任意後見契約の併用
財産管理以外に、医療契約や役所での手続きなど、生活上のサポートも必要になる可能性を踏まえ、任意後見契約を同時に締結。これにより、信託でカバーできない部分も補完できる安心体制を構築しました。 - 二次相続への備え
お父様亡き後に備え、信託契約に残余財産の帰属先を定める条項を追加。これにより、二次相続の際の混乱を防ぎ、相続発生後の手続きもスムーズに行えるよう設計しました。 - 遠方在住でも安心できる進行管理
東京都と札幌という距離があるため、オンライン面談や進捗報告を活用し、常に状況を共有。K.S様が安心して任せられるよう、可視化された工程表をご提示しました。 
お客様の声
「父がもし認知症になったらとずっと不安で、夜も眠れない時期がありました。でも、家族信託と任意後見の両方を組み合わせることで、財産のことも生活のこともカバーできる仕組みを整えていただき、心から安心できました。
不動産や預貯金をどう管理すればいいか、二次相続まで見据えて提案いただけたのがありがたかったです。遠方に住んでいてもオンラインでやり取りでき、書類の準備も全て任せられたので負担がほとんどありませんでした。
父も安心して契約に臨めて、家族全員が納得できたことが何よりです。早めに相談して本当に良かったと思います。これから同じように不安を抱えている方には、ぜひ専門家に相談することをおすすめします。」