事例の背景
江別市で一人暮らしをしているM.H様は、以前から盲導犬協会の活動に深い関心を持ち、支援を続けてきました。
「自分が亡くなった後も、少しでも社会の役に立ちたい」との思いから、遺言で寄付を実現したいと考えるようになりました。
しかし、遺言の作成方法を調べるうちに、自筆証書遺言には厳格なルールがあることを知り、「少しでも書き方を間違えると無効になる」と不安を感じたそうです。
さらに、子どもや兄弟がいないため、葬儀や遺品整理、公共料金の解約など、死後に発生する手続きを誰に頼めばよいか分からないという悩みも抱えていました。
「遺言と死後の手続きを同時に整理できないだろうか」と考え、専門家を探していたところ、当事務所にご相談をいただきました。
当事務所からのご提案
ご相談内容を踏まえ、当事務所では「遺言による寄付の確実な実行」と「死後事務の包括的な委任」を両立させるため、次のような提案を行いました。
1. 公正証書遺言の作成サポート
盲導犬協会への寄付を法的に確実に実行するため、公正証書遺言の作成を提案しました。
自筆証書遺言と異なり、形式不備で無効になるリスクがなく、家庭裁判所の検認手続きも不要なため、寄付までの流れをスムーズに進めることができます。
寄付内容・受遺者(盲導犬協会)・財産の明細などを具体的に記載し、実行性の高い内容に整えました。
2. 死後事務委任契約の締結
死後の葬儀・納骨・遺品整理・公共料金解約などを包括的に任せる「死後事務委任契約」を併せて締結。
「亡くなった後、誰も手続きをしてくれないのでは」という不安を解消し、確実に実行される体制を整えました。
3. 遺言執行者の指定
遺言の内容が確実に履行されるよう、遺言執行者として当事務所(司法書士法人)を指定。
寄付の実行や財産整理を専門家が担うことで、透明性と確実性の両立を実現しました。
4. 書類準備と公証人役場対応の代行
公正証書遺言の作成には、印鑑証明書や財産資料などの書類が必要ですが、すべて当事務所で代理取得・整備しました。
また、公証人役場との事前調整もすべて代行し、M.H様には当日署名・押印していただくだけで手続きが完了しました。
5. 死後の希望内容を文書化
葬儀の規模、納骨方法、寄付のタイミング、遺品整理の方針などを具体的にヒアリングし、死後事務契約書に明記。
これにより「自分の死後に何がどう行われるのか」が明確になり、安心して今後を過ごせるようになりました。
お客様の声
「自分の死後に迷惑をかけたくない」とずっと思っていましたが、遺言と死後事務の両方を整えられたことで、本当に安心できました。
盲導犬協会への寄付も、確実に実行できる形にしてもらえたのがうれしかったです。
書類の準備や公証人役場とのやり取りもすべてお任せできたので、手続きの負担はほとんどありませんでした。
一人暮らしでも、自分の死後のことを安心して任せられる仕組みを作れたことが何よりの安心です。
遺言や死後事務契約は難しそうだと思っていましたが、先生が丁寧に説明してくださったおかげで、不安がなくなりました。
「これでやっと心配が一つ減った」と感じています。