事例の背景
ご相談は、T.U様の兄が「自分の意思を法的に有効な形で残したい」と強く希望されたことから始まりました。
兄弟仲は良好ではあるものの、相続人が兄弟6名と多く、さらに1名が亡くなっているため代襲相続人として甥・姪が2名加わる複雑な構成でした。
兄ご本人は、
「自分に万が一のことがあったとき、相続でもめてほしくない」
という想いがあり、口頭での伝達や自筆証書では不安が残ると感じ、公正証書遺言の作成を決断。
しかし、高齢のため外出が難しく、手続きの知識もなく、
「なるべく自宅で完結できるようサポートしてほしい」
という希望から、T.U様を通じて当事務所にご相談いただきました。
相続関係の調査から遺言内容の整理、公証人手配、出張による遺言作成まで、負担をかけずに確実に進める専門サポートが求められたケースでした。
当事務所からのご提案
今回のポイントは、
①複雑な相続関係の正確な把握
②ご本人の意向を法律的に実現可能な形で明文化
③高齢の方でも負担なく手続きできる環境の整備
の3点でした。
1. 相続関係の調査と法定相続人の確定
相続人は兄弟6名(うち1名死亡)と、その代襲相続人2名。
戸籍調査を丁寧に行い、誰が相続人かを正確に確定しました。
この段階の誤りは遺言の効力に直結するため、最重要工程として慎重に進めました。
2. ご本人の意向を反映した遺言文案の設計
兄の希望は「T.U様に遺す財産を明確に記載したい」というものでした。
遺留分や法定相続人とのバランスも考慮しながら、法的に問題なく実現できる文案を作成。
また、第一受遺者が先に亡くなった場合に備えた「予備的遺言」もご提案し、将来のリスクを最小限に抑えました。
3. 高齢の方に配慮した出張対応の実施
兄は外出が困難なため、公証人の出張による遺言作成を手配。
事前の意思確認・本人確認、必要書類の準備、公証役場との調整、証人手配まで当事務所が一括で対応し、
ご自宅で手続きを完結できる流れ を構築しました。
4. 実行しやすい遺言の設計
遺言は「作ること」より「実際に実行できること」が大切です。
そのため、相続発生後の手続きで迷いが出ないよう、財産の指定や受遺者の記載方法など、実務に強い遺言に仕上げました。
お客様の声
兄が高齢で手続きに不安を感じていましたが、戸籍調査から文案づくり、公証人の出張手配まで全部任せられて本当に助かりました。
予備的な内容まで提案していただけたおかげで、「これで兄の想いをしっかり残せた」と家族みんな安心しています。売却まで一緒に進めてもらえたので、とても安心できました。自分ひとりでは数年かかっても終わらなかったと思います。スムーズに解決できて、肩の荷がおりました。」