事例の背景
T.S様は、お母様が亡くなられた後、相続登記を進めようと戸籍取得を試みました。しかし、被相続人の出生地が旧樺太だったことから、戸籍が複数の自治体に分散しており、「どこに請求すれば良いのか」すら判断できない状況に。
さらに、転籍・改製原戸籍も多く、戸籍の変遷が複雑に入り組んでいたため、請求しても内容がつながらず、途中で断念されたとのことです。
相続人はT.S様お一人のみであるものの、戸籍のつながりが確認できなければ相続登記はできません。
相続登記義務化の話題も耳に入り、「早く名義を整えておかないと…」という不安が日に日に大きくなっていたといいます。
こうした状況から、「複雑な戸籍でも確実に対応してくれる専門家に任せたい」と思い、当事務所にご相談いただきました。
当事務所からのご提案
今回の手続きでは、戸籍の所在が複数自治体に及ぶケースでもスムーズに進めるための徹底した調査と整理 を重視しました。
1. 樺太戸籍を含む古い戸籍の収集
樺太戸籍が関係する場合は、通常の戸籍取得とは異なる照会が必要になることがあります。
転籍の履歴や除籍・改製原戸籍の情報を手がかりに、関係する自治体へ順に請求を行い、つながりを1つずつ確認。
抜け漏れのないよう慎重に収集し、相続関係が明確になる土台を整えました。
2. 戸籍の変遷を分かりやすく図式化
古い形式の戸籍や転籍が多い場合、家族関係が分かりづらくなることがあります。
そこで、戸籍の変遷や家族構成を年表化した資料を作成し、T.S様にも見て分かるよう丁寧に説明。
「どの戸籍がどこから来たのか」を明確にし、安心して手続きを進めていただけるよう工夫しました。
3. 不動産に関する確認と申請書類の準備
不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書を取得し、名義・地番・評価額を確認。
登記申請に必要な情報を整理し、書類に不備が生じないよう細かくチェックしました。
4. 相続登記をオンラインで申請
相続関係説明図・戸籍一式・固定資産証明など必要書類をすべて整えた上で、オンライン申請を実施。
担当登記官との事前確認も行い、スムーズな受理につなげました。
5. 進捗の見える化とこまめな報告
古い戸籍の取り寄せは時間がかかるため、進捗管理表を作成し、都度状況を報告。
長期化しやすい案件でも、安心して見守っていただけるよう配慮しました。
お客様の声
「相続登記は自分でできるのかと思って調べてみたのですが、正直まったくわかりませんでした。権利証も見つからず、不安ばかりが募っていましたが、先生に相談して本当に良かったです。相続登記が終わっただけでなく、不動産の売却まで一緒に進めてもらえたので、とても安心できました。自分ひとりでは数年かかっても終わらなかったと思います。スムーズに解決できて、肩の荷がおりました。」