事例の背景
Y.M様は、ご主人が亡くなられた後の相続手続きについて、「相続人が多すぎて何をどう進めたらいいか分からない」という深い不安を抱えてご相談に来られました。
相続人はご本人のほか、ご主人の兄弟6名。そのうち2名はすでに亡くなっていたため、代襲相続人として甥・姪が相続人に加わり、複数名の相続となる複雑な構成でした。
さらに相続人の一人には成年後見人と後見監督人がついており、「遺産分割協議には後見監督人が参加しなければならない」という特殊事情がありました。家庭裁判所との連携が必要になる場面も多く、ご本人いわく「自分ではとても対応しきれない」と感じていたそうです。
加えて、相続放棄を希望する兄弟・甥姪も複数おり、その意思をどのように書類へ反映させればよいのか分からず、協議の進め方にも不安が残っていました。
こうした複雑な状況を整理し、法的に正しい形で相続を終えたいとのご希望があり、当事務所へのご相談に至りました。
当事務所からのご提案
今回の相続では、「後見制度の関与」「相続放棄者の存在」「相続人多数」 という三重の複雑さを正確に整理し、円満な合意形成を進めることが重要でした。
1. 戸籍の収集と法定相続情報一覧図の作成
被相続人の出生から死亡までの戸籍、兄弟および代襲相続人の戸籍をすべて収集。
法定相続情報一覧図を作成し、複雑な家族関係を明確に可視化しました。
2. 成年後見制度に関する法的整理と後見監督人への調整
後見制度が関与する相続では、遺産分割協議に後見監督人が参加しなければなりません。
家庭裁判所の判断や手続きが適切に行われるよう、必要資料の整備と説明を行い、後見監督人へ正式に協議参加を依頼しました。
3. 相続放棄者の意思確認と協議への反映
相続放棄希望者4名へ個別に確認を行い、遺産分割協議書にどのように記載するかを精査。
誤った記載による遺産分割の無効化リスクを避けるため、慎重に文案を整えました。
4. 遺産分割協議書の作成（後見監督人による代理署名含む）
後見監督人が被後見人の代理人として署名できるよう、法的根拠を明確にした協議書を作成。
相続人多数の案件でも不備が出ないよう、署名押印の回収も一括で管理しました。
5. 相続登記の申請と全体進行のマネジメント
法務局への登記申請書一式を当事務所で作成し、提出までをワンストップで対応。
進捗管理表を用い、依頼者・後見監督人への連絡をこまめに行い、不安なく進められる体制を整えました。
お客様の声
相続人が多く、後見制度も関わっていたため、自分ではとても整理できない内容でした。相続放棄をする人もいて、誰がどのように手続きへ参加するのかも分からず、本当に困っていました。
すべての戸籍や書類を整えていただき、後見監督人とのやり取りまで丁寧に進めてもらえたことで、安心して協議を進めることができました。複雑な相続でも、間違いなく法的に正しい形で手続きが完了し、心からホッとしています。専門家にお願いして本当に良かったです。
