事例の背景
K.M様は、お父様の相続が発生した当初、「相続人は姉妹2人だけなので、話し合えば何とかなるだろう」と考えていらっしゃいました。
しかし、いざ手続きを進めようとすると、妹様の言動に大きな違和感を覚えるようになります。
妹様は、些細なことにも強い疑念を抱き、「勝手に手続きを進めているのではないか」「自分に不利な情報を隠しているのではないか」といった思い込みから、預貯金の金額や書類の内容、金融機関とのやり取りに至るまで、非常に細かい指摘を繰り返していました。
説明を重ねても納得が得られず、そのたびに話し合いが止まってしまう状況に、K.M様は大きな精神的負担を感じていたといいます。
ご自身も70代となり、これ以上身内同士でやり取りを続けることへの限界を感じる一方で、「自分が前に出るほど、中立性を疑われてしまう」というジレンマも抱えていました。
金融機関ごとに異なる相続手続きの煩雑さも重なり、「このままでは前に進まない」と判断し、プロに相談しようと考えるようになりました。
当事務所からのご提案
今回のご相談で最も重要だったのは、「手続きを早く終わらせること」ではなく、相続人間の不信感をこれ以上深めない形で、確実に手続きを完了させることでした。
特に、妹様に妄想的な思い込みや強い警戒心がある状況では、依頼者様が直接説明を続けるほど、感情的な対立が強まるリスクがありました。
そこで当事務所では、以下の方針でサポートを行いました。
1. 司法書士が「中立な第三者」として前面に立つ体制づくり
まず、姉妹間で直接やり取りをする場面を極力減らし、すべての説明・資料提示を当事務所から行う体制を整えました。
「どちらかの味方ではない専門家が説明している」という状況を作ることで、妹様の不信感を和らげ、感情的な指摘がエスカレートしないよう配慮しました。
2. 相続関係と手続きの流れを“見える化”
妹様は細かい点に強く反応される傾向があったため、
- 相続人は誰か
- 預貯金はいくらあり、どの銀行でどんな手続きが必要か
- どの書類が、どの順番で使われるのか
といった点を、口頭説明だけで済ませず、書面で整理した一覧資料として提示しました。
曖昧な表現を避け、「どこまでが事実で、どこからが手続きなのか」を明確に区別することで、余計な疑念を生まないようにしました。
3. 預貯金2行の手続きを一括で管理
預貯金は2つの金融機関に分かれており、それぞれ必要書類や記入方法が異なっていました。
当事務所が事前に必要書類をすべて洗い出し、
- 姉妹それぞれが署名・押印すべき箇所
- 提出のタイミング
- 金融機関とのやり取り
を一元管理。
依頼者様が妹様から直接質問や指摘を受ける状況を作らないよう、窓口を当事務所に集約しました。
4. 感情面への配慮を重視した進行
「正論を伝えれば理解してもらえる」とは限らないのが、今回のようなケースです。
当事務所では、法的に必要な説明は淡々と行いながらも、妹様の不安を刺激しやすい表現は避け、あくまで事実ベースで、冷静に進めることを徹底しました。
結果として、大きな対立や手続きの停滞を招くことなく、預貯金2行の解約・分配までを無事に完了することができました。
お客様の声
「姉妹2人だけの相続なのに、ここまで話が進まないとは思っていませんでした。
説明すればするほど疑われてしまい、精神的に追い詰められていたと思います。
司法書士の先生に間に入っていただいてからは、すべてを第三者の立場で説明してもらえたので、私が直接対応する必要がなくなり、本当に楽になりました。
妹も専門家の説明だと受け止め方が違うようで、少しずつですが手続きが前に進んでいったのが印象的です。
もし自分たちだけで続けていたら、関係がさらに悪くなっていたと思います。
預貯金の手続きもまとめて任せられ、安心してお任せできました。本当にありがとうございました。」