事例の背景
月形で代々米作りをしてきましたが、お父様が亡くなった後、土地の名義をそのままにしていました。農繁期の忙しさもあり、手続きは後回し。「うちは家族仲が良いから、いつでもできる」と高を括っていたのです。しかし、農協の制度融資を利用しようとした際、登記簿上の名義が戦前の「曾祖父」のままになっている土地が混ざっていることが分かり、愕然としました。
曾祖父まで遡ると、相続人は既に20名以上に増えていました。中には月形を離れて数十年、連絡先も分からない親戚もいます。自分で役所へ行き戸籍を集めようとしましたが、古い戸籍は文字が読めず、誰がどこで亡くなっているのかさえ把握できませんでした。このままでは融資が受けられないだけでなく、将来自分の子供にこの負の連鎖を引き継がせてしまう。先祖から預かった大切な田んぼを自分の代で台無しにしてしまうのではないかという強い焦りから、プロに相談しようと考えるようになりました。
当事務所からのご提案
① 明治時代まで遡る「執念の戸籍調査」と家系図の作成
一般の方では解読困難な明治・大正期の古い戸籍を、職権で全て取り寄せました。複雑に絡み合った20名以上の相続人を特定し、一目で関係が分かる家系図を作成。H様に現状を視覚的に理解してもらうことで、解決への道筋を明確にしました。
② 疎遠な相続人への「丁寧な合意形成」のサポート
20名以上の親族に対し、当事務所の司法書士名で、月形の土地を守ることの大切さと法的な手続きの必要性を記した手紙を送付しました。専門家が間に入り、感情論ではなく「実務的な整理」として説明することで、懸念されていた反対意見もなく、全員から協力の合意を取り付けました。
③ 営農継続を支える「農地法」に基づいた登記申請
農地特有の規制をクリアしつつ、H様が安定して農業を続けられるよう、全ての農地をH様に集約する遺産分割協議書を作成。農業委員会への届出もセットで対応し、融資の実行スケジュールに間に合うよう迅速に登記を完了させました。
お客様の声
曾祖父の名義が残っていると聞いた時は、もうこの土地は捨てなければならないのかと震えました。でも、先生が全国から戸籍を集めて、会ったこともない親戚たちとスムーズに話をつけてくれたおかげで、無事に私の名義にすることができました。おかげさまで融資も通り、今年も自信を持って種まきができました。月形の農家にとって、これほど心強い味方はいません。