事例の背景
小樽市堺町周辺で代々商売を営んできたK様のご家庭。お父様が亡くなり、K様がお店と建物を守ることになりましたが、妹様から「観光地の真ん中でこれだけ大きな建物なら、価値は数千万円下らないはず。その半分を現金で欲しい」という強い要求がありました。
しかし、その建物は歴史的価値がある一方で、石造りの蔵の補修や、古い構造ゆえの暖房効率の悪さ、耐震補強など、維持するだけで毎年多額の資金が飛んでいきます。K様は「建物は資産ではなく、もはや『守るべき重荷』だ」と感じていましたが、妹様には「商売が好調で、いい生活をしている」としか見えていませんでした。
「父が残したこの景観を壊したくない。でも、妹の要求に応える現金はない」。K様は、小樽の歴史的建造物の維持の大変さを理解し、公正な評価で妹様を説得してくれる専門家を探し始めました。
当事務所からのご提案
まずは、表面的な土地価格だけではない「歴史的建造物の維持コスト」を算出しました。
① 「維持修繕費」を考慮した特別評価の実施
今後20年間で必要となる修繕工事(屋根、外壁、石組みの補修など)の見積もりを取り、それを不動産価値から差し引く「評価減」を提案。妹様に対し、この家を継ぐことがどれほど大きな「経済的負担」を伴うのかを数字で解説しました。
次に、K様の事業資金を守りつつ、妹様の納得を引き出すプランを提示しました。
② 事業所得に基づいた「代償金」の長期支払いスキーム
一括での支払いが困難なK様のために、数年間にわたる分割支払いの条項を協議書に盛り込みました。また、お父様の残した預貯金や一部の美術品を優先的に妹様へ配分することで、初期の不満を和らげる調整を行いました。
最後に、将来の「もしも」に対する安心材料を加えました。
③ 建物解体・土地売却時の「追随精算条項」の策定
「もし将来、K様が維持を諦めて土地を高く売却した場合には、その利益を妹様と再分配する」という約束を明文化。これにより、妹様の「今、安く評価されることへの不信感」を取り除き、円満な合意へと繋げました。
お客様の声
小樽の古い建物を守ることの苦労は、住んでいる者にしか分かりません。先生がその「見えない負担」をしっかり数字にして妹に伝えてくれたおかげで、ようやく理解し合えました。書類をきっちり作ったことで、これからも自信を持ってこの店を守っていけます。小樽で古い建物の相続に悩んでいる方は、ぜひ先生に相談してください。