ご相談の経緯
札幌市西区にお住まいの70代男性の方からの、前妻の子と後妻をめぐるご相談です。ご本人は10年前に再婚され、現在は60代の奥様と西区のご自宅で二人暮らしをされています。前妻との間には札幌市内にお住まいの40代の長男様がいらっしゃいます。
ご本人は健康でいらっしゃいますが、将来を見据えて「自分が亡くなった後も妻には今の家に住み続けてほしい」「それでも最終的には家を長男に残したい」という二つの願いを両立させたいとお考えでした。後の設計の前提となる財産は、西区のご自宅と預貯金の一部です。
困りごとは、この二つが遺言書だけでは折り合いにくい点でした。妻に自宅を残すと、妻が亡くなった後は妻側の親族へ渡り、長男に残すと妻の住まいが保証されません。さらに、ご自身が認知症になった場合に自宅や預貯金を誰がどう管理するのかも不安でした。
どちらを優先しても一方に申し訳なさが残るため、ご本人はこの問題を長く先送りにされていたそうです。ご自身で情報を集めても、承継の順番と認知症対策を一つにまとめる方法までは整理がつきませんでした。そうした中で「札幌 家族信託」と検索して当事務所のページを見つけ、ご相談くださいました。
ご提案と対応
まず私たちが整理したのは、「妻の住まいを守る」「最終的に長男へ残す」「認知症への備え」という三つを、承継の順番として一つにまとめられないか、という点でした。遺言書だけでは折り合いにくい部分を、どの手法で支えるかを考えました。
お話を伺うと、父親様・奥様・長男様それぞれに遠慮や不安がありました。そこでご家族全員が納得できる形を目指し、家族信託をご提案しました。家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理や承継を託す仕組みです。
具体的には、受益者連続型家族信託の設計を採用しました。これは、受け取る人(受益者)を順番に決めておける家族信託です。父親様を委託者兼当初受益者、長男様を受託者とし、父親様が亡くなった後は奥様を第二受益者として、自宅に住み続ける権利と生活費の給付を保障します。
奥様が亡くなった時点で信託を終了し、残った自宅と預貯金を長男様が取得する流れとしました。信託財産は西区のご自宅と預貯金の一部です。認知症への備えとして、受託者が自宅の修繕や預貯金の管理を行える権限も盛り込みました。
奥様の不安に配慮し、受託者が奥様へ年1回の報告を行う条項も設けました。手続きの前提として、ご相談者には戸籍や不動産に関する資料のご準備と、ご家族での面談同席にご協力いただきました。
契約書案を作成したうえで、公証役場で公正証書による信託契約を進め、法務局で自宅の信託登記を申請しました。あわせて信託専用口座の開設まで、一連の手続きを当事務所で一括して進めています。
結果
初回相談から約2ヶ月半で、公正証書による信託契約の締結に至りました。父親様がご存命の間は自宅に住み、亡くなった後は奥様が住み続ける権利と生活費の給付を受け、奥様が亡くなった時点で長男様が自宅と預貯金を取得する承継の順番が整いました。
契約締結後は約2週間で、法務局への信託登記の申請と信託専用口座の開設まで完了しています。信託契約書には、受託者が自宅の修繕や預貯金の管理を行える権限と、奥様へ年1回の報告を行う条項を書面で固めました。これにより、認知症への備えと奥様の安心を同じ契約の中で確保できました。
資料の取り寄せや公証役場・法務局とのやり取りは、当事務所で一括して進めました。ご相談者には、戸籍や不動産に関する資料のご準備と、ご家族での面談同席にご協力いただいた程度で、慣れない手続きに一人で向き合う負担はほとんどありませんでした。相談から一連の手続きの完了まで、おおむね3ヶ月ほどで終えています。
長く先送りにされていた問題が一つの契約でまとまり、父親様は肩の荷が下りたご様子でした。三人で同じ説明を聞けたことで、奥様と長男様の間にあった遠慮や不安も和らぎ、ご家族で今後について話せる関係になりました。
お客様の声
手続きを終えられた後、父親様は当時のお気持ちを次のように話してくださいました。
「妻と息子の両方に申し訳ない気持ちがあって、ずっと先送りにしていました。信託なら順番を決めて両方守れると聞いて、ようやく安心して決断できました。三人で一緒に話を聞けたのも良かったです。」
ご家族それぞれの想いを同じ場で確かめ、一つの契約にまとめられたことが、長年の迷いを解くきっかけになったようです。資料の取り寄せから各機関とのやり取りまでをお任せいただけたことも、安心につながったと伺っています。
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