ご相談の経緯
札幌市手稲区にお住まいの長女の方からの、きょうだい3人の対立をめぐるご相談です。手稲区の実家で一人暮らしをされる80代のお母様の、認知症対策として家族信託を検討したいという内容でした。
お母様には軽度の物忘れがあるものの、日常会話やご判断はしっかりされていました。将来に備え、元気なうちに実家の管理のしかたを決めておきたいというお気持ちがありました。家族信託とは、財産の管理を信頼できる家族に任せる仕組みのことです。
ところが、きょうだい3人の意見が折り合いませんでした。近くで世話をするご長女の方はご自身が管理する前提でしたが、長男の方は「長男の自分が管理すべき」、江別市にお住まいの次男の方は「財産がどう使われるか分からない」と警戒されていました。
話し合いは平行線のまま進まず、お母様も「子どもたちが揉めるくらいなら何もしなくていい」と口にされるようになっていました。ご家族だけでは糸口が見えない中で、「札幌 家族信託」と検索して当事務所のページを見つけ、ご相談くださいました。
ご提案と対応
はじめに長女様お一人のお話を伺い、論点を整理しました。きょうだいの不信感は、誰が受託者になるかよりも「財産が見えないこと」にあると考えました。受託者とは、財産の管理を任される家族のことです。
そこで私たちは、お母様ときょうだい3人全員に札幌オフィスへお集まりいただき、家族会議の場を2回設けることをご提案しました。1回目は、家族信託で受託者ができること・できないことを全員に同じ内容で説明しました。
2回目で役割分担を話し合いました。日常の世話をされている長女様を受託者とし、長男様には信託監督人、次男様には受益者代理人という役割をお持ちいただく案をお示ししました。受託者が年2回、きょうだい全員に収支を報告する条項を入れることで、財産の使い道が見える仕組みにする狙いです。
設計では、お母様を委託者兼受益者とし、信託財産を手稲区のご実家と預貯金の一部に絞りました。受託者がご実家の修繕や売却を行える権限も契約に明記する方針です。選択肢として任意後見など他の制度も比較のうえ、ご家族のご希望に沿う家族信託を採用しました。
採用したのは公正証書家族信託契約の締結・信託登記です。これは、信託の内容を公証役場で公正証書にし、対象の不動産を法務局で信託登記する手続きのことです。契約書案の作成から公証役場での手続き、信託登記、信託専用口座の開設まで、私たちが一括してお手伝いしました。
あわせて、将来の相続税や売却に備え、税理士・不動産会社と連携できる体制もご案内しました。ご家族には、2回の家族会議へのご出席と、必要書類のご準備にご協力いただきながら手続きを進めていきました。
結果
初回のご相談から約3ヶ月で、公正証書による信託契約の締結に至りました。長女様が受託者、長男様が信託監督人、次男様が受益者代理人という形で、きょうだい3人がそれぞれ役割を持つ内容で合意しています。
契約書には、受託者が年2回きょうだい全員へ収支を報告する条項を明記しました。これにより、財産の使い道が三者に見える仕組みが書面で固まりました。手稲区のご実家の修繕や売却を受託者が行える権限も、契約に残しています。
契約締結後は約2週間で、ご実家の信託登記と信託専用口座の開設が完了しました。契約書案の作成から公証役場でのやり取り、法務局への登記申請、口座開設までは私たちが一括してお引き受けしています。ご家族には2回の家族会議へのご出席と必要書類のご準備にご協力いただく程度で、日常のご負担は大きくありませんでした。
「姉だけに任せる不安」が三者それぞれの役割によって解消され、きょうだいのあいだのわだかまりも和らぎました。お母様も「これで安心した」と話され、ご家族全員が同じ方向を向いて前に進める状態になりました。
お客様の声
手続きを終えた後、ご相談者から次のようなお言葉をいただきました。
「最初は兄弟で口論になって、もう無理かと思っていました。先生が全員に同じ説明をしてくれて、兄と弟にも役割を作ってもらえたことで、やっと前に進めました。母も安心した顔をしていて、相談して本当に良かったです。」
ご家族の想いを一つにまとめるお手伝いができたことを、私たちもうれしく思っています。
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