事例の背景
石狩市で夫と二人暮らしをしていたH様。夫が急逝し、遺品を整理していると、夫が若い頃に別の女性との間に一人の子を設けていたことが分かりました。H様にとっては寝耳に水の話でした。
法律上、そのお子さんにも相続権があります。しかし、H様には連絡を取る手段も勇気もありません。もし相手が「家を売って現金を寄こせ」と言ってきたら、住み慣れた石狩の家を追い出されてしまう。高齢で一人暮らしのH様にとって、それは死を宣告されるのと同じような恐怖でした。
ご自身で役所に行って相談もされましたが、「相手を探して話し合ってください」と言われるだけ。誰を信じていいのか分からず、暗い部屋で一人震えていたH様が、知人の紹介でようやく当事務所に辿り着かれました。
当事務所からのご提案
H様の生活の基盤である「住まい」を守ることを最優先に、以下の慎重なプランを遂行しました。
① 専門家による「ワンクッション」の連絡
いきなりH様から連絡が行くと、相手方も感情的になりがちです。まずは私が「ご遺族に代わって、適正な手続きを行うための確認」としてお手紙をお送りしました。相手の生活状況を尊重しつつ、H様がその家に住み続ける必要性を「事情説明」として丁寧に添えました。
② 配偶者居住権の検討と活用
もし土地・建物の所有権を相手方に一部渡すことになったとしても、H様が死ぬまで無償で住み続けられる「配慮」として、新法で制定された配偶者居住権の活用を視野に入れました。これにより、「家を追い出される」というH様の最大の不安を法的に解消する準備を整えました。
③ 誠実な「代償金」の提示
相手方には、夫が残したわずかな預貯金の中から、誠意を持った金額を代償金として提示しました。相手方も遠方に住んでおり、石狩の不動産には興味がないことが判明。現金による解決を望まれたため、スムーズに遺産分割協議書をまとめ、H様の名義に変更することができました。
再婚家庭の相続は、過去の感情が入り混じる非常にデリケートな問題です。だからこそ、司法書士が「中立な調整役」として、お互いの人生を尊重する着地点を作ることが重要だと考え、支援を行いました。
お客様の声
最初にお話しした時、先生が「大丈夫ですよ、ちゃんと住み続けられる方法はありますから」と言ってくださった瞬間に涙が溢れました。それまでずっと一人で抱えていたので……。
先生が相手の方と連絡を取ってくださり、私の生活も守ってくれたおかげで、今は安心してお墓参りに行くことができます。自分一人では何から手をつけていいか分からず、ただ怯える毎日でした。先生に出会えて、本当に救われました。