事例の背景
当別町スウェーデンヒルズの美しい景観の中に建つご実家。お父様が亡くなり、この家をどう引き継ぐかが問題となりました。相談者のE様は地元で管理を続けたい意向でしたが、共同相続人であるお兄様は長年ヨーロッパに居住しており、日本の相続手続きに詳しくありません。
E様が自分で手続きを進めようとしたところ、お兄様から「印鑑証明書なんて持っていない」と言われ、そこから先へ進めなくなってしまいました。さらに、お兄様は「自分は住まないのだから、維持費は一切払いたくないが、売却した時の権利は半分欲しい」と主張。E様は冬の除雪や建物のメンテナンス費用を一人で抱えることに強い不安と不公平感を感じるようになりました。
次第にお兄様とのメールのやり取りも事務的になり、このままでは大切な家が放置され、荒れ果ててしまうのではないかという焦りから、当別町の事情と国際的な相続手続きの両方に通じたプロを探し始めました。
当事務所からのご提案
まずは、海外在住者特有の手続き上の障壁を確実に取り除くことから始めました。
① 「署名証明(サイン証明)」を活用した国際相続サポート
海外には印鑑証明制度がないため、お兄様が現地の大使館や領事館で発行を受ける「署名証明」の手配をサポートしました。遺産分割協議書の作成段階から、現地の公証人が認証しやすい書式を整え、郵送のタイムラグを最小限に抑えるスケジュール管理を行いました。
次に、E様が一人で維持費を負担し続ける不公平感を解消する案を提示しました。
② 管理コストを反映した「代償分割」の再計算
スウェーデンヒルズの邸宅は、景観を維持するための独自のルールや高いメンテナンス費用がかかります。これらを将来にわたって算出し、お兄様への支払い分から「将来の管理費負担分」をあらかじめ差し引く、あるいはE様が単独名義を持つ代わりに、将来売却した際の利益配分を明確にするルールを協議書に盛り込みました。
最後に、将来お兄様に万が一のことがあった際の再燃を防ぐ工夫をしました。
③ 紛争を断つ「清算条項」と合意の明文化
「あの時あっちが有利だった」という後出しの不満を防ぐため、今回の協議をもって全ての債権債務が消滅することを協議書に明記。お兄様にも、E様が管理を引き受けることのメリットを法的な観点から丁寧に説明し、納得感を持ってサインをいただけるよう橋渡しをしました。
お客様の声
兄が海外にいたため、何から手を付けていいか絶望していましたが、先生が大使館での手続きまで詳しく教えてくださり、本当に助かりました。お金の話も、先生が「スウェーデンヒルズを維持する大変さ」を客観的に説明してくれたおかげで、兄も自分の主張が極端だったと気づいてくれました。おかげさまで、父が愛したこの家をこれからも守っていけそうです。