事例の背景
栗山町で稲作を営むH様。お父様の逝去により、田んぼの名義変更をすることになりました。しかし、登記簿を確認すると、田んぼだけでなく、近くにある溜池の土地についても「共有持分」としてお父様の名前がありました。共有者は近隣の農家数十名。中にはすでに亡くなっている方も多く、名義がバラバラの状態でした。
H様は「田んぼだけ名義を変えればいい」と考えていましたが、溜池の権利が放置されると、将来の改修工事の同意が得られなかったり、土地改良事業の際に支障が出たりすることを知りました。また、町外に住む兄弟からは「溜池の権利なんて持っていると、将来事故があった時に責任を負わされるのではないか」と、相続を拒否する声が上がりました。
「先祖代々、地域の水として大切にしてきた溜池を、自分の代で曖昧にしたくない」。H様は、農地の専門的な手続きと、地域の水利関係の整理を同時にお願いできる司法書士を探し始めました。
当事務所からのご提案
まずは、一般的には分かりにくい「共有持分」の役割と責任を整理しました。
① 溜池・水利施設の「実態調査」と権利の切り分け
その溜池が現在どのように使われ、どのような維持管理組織(水利組合など)があるかをリサーチ。相続人である兄弟に対し、権利を持つことのメリットと、実際の責任の範囲を法的な視点から詳しく説明し、不安を取り除きました。
次に、農業を続けるH様に権利を集中させるプランを提示しました。
② 農業経営に不可欠な「付随権利」の集中承継
田んぼとセットで溜池の共有持分もH様が相続することを遺産分割協議書に明記。農業委員会や改良区とのやり取りも代行し、H様が今後もスムーズに水を利用できる体制を整えました。
最後に、兄弟間での公平性を保つための「資産調整」を行いました。
③ 共有持分の「評価額ゼロ」としての財産配分
溜池の持分は、資産価値としてはほぼゼロですが、管理責任という側面があります。この「負担」をH様が引き受けることを考慮し、その分、現金や他の動産の配分を他の兄弟に多めに振り分ける調整を行い、全員の合意を得ました。
お客様の声
溜池の権利まで登記されているなんて思ってもみませんでした。先生が「これは農業を続けるHさんにとって大事な権利ですよ」と、兄弟の前でしっかり説明してくれたのが本当に良かったです。自分一人では説明しきれなかったと思います。難しい書類もすべて作ってもらえたので、農作業を休まずに手続きを終えることができました。