事例の背景
A様は、長年かけて築き上げた賃貸アパート3棟の管理を、すべてお一人で仕切ってこられました。しかし、昨今の札幌の厳しい冬、屋根の融雪装置の故障対応や、春先に予定していた外壁塗装の打ち合わせにおいて、業者とのやり取りに何度も漏れが生じるようになったそうです。
「もし自分が認知症になったら、大規模修繕の契約もできず、物件がボロボロになってしまうのではないか。そうなれば入居者に迷惑がかかるし、銀行融資の返済も滞ってしまう……」 そんな焦りから、まずはご自身で公正証書遺言の準備を始められました。しかし、遺言は「死後」にしか効力を発揮しません。生きている間の「管理」に不安を感じ、より柔軟な解決策を求めて、地元の不動産実務に明るい専門家を探し始めました。
当事務所からのご提案
賃貸経営を止めることなく、スムーズに次世代へバトンタッチするための「経営持続型信託」を提案しました。
① 収益不動産の管理権限を次男へ集約
複数の相続人がいる中で、物件管理の窓口を一本化することが重要です。実務に明るい次男様を受託者に指名し、家賃収入の管理から修繕契約、入居者対応までの権限を信託契約に明記しました。これにより、T.A様の判断能力に関わらず、物件の価値を維持するための迅速な意思決定が可能になります。
② 修繕積立金の「信託口口座」による分別管理
個人の預金口座とは別に、信託専用の「信託口口座」を開設。ここへ将来の修繕費用や納税資金をプールする設計にしました。これにより、万が一T.A様が施設に入所して口座が凍結されるような事態になっても、次男様が必要な経費を直接この口座から支払える「止まらない経営」を実現しました。
③ 予備的受託者の設定によるリスクヘッジ
万が一、受託者である次男様に不測の事態が起きた場合に備え、長男様を「予備的受託者」として指定。二段構えの体制をとることで、どんな状況下でも物件管理が放置されない、究極の「安心設計」を構築しました。
お客様の声
最初は、子供に権利を譲ることに抵抗がありましたが、先生の説明を聞いて『これは資産を守るための盾なんだ』と納得できました。契約後は、息子との会話も経営の相談が増え、以前より関係が良くなった気がします。経営者の視点でアドバイスをくれる先生にお願いして本当に正解でした。