事例の背景
E様は、潮風の強い石狩市内の住宅にお住まいです。夫に先立たれ、近くに身寄りもいない中、毎冬の除雪作業が命がけの重労働になっていました。数年前、屋根からの落雪で物置が損壊した際、自力で業者を手配したり火災保険の手続きを行ったりすることに限界を感じ、心身ともに疲れ果ててしまったそうです。
「このままこの家で倒れたら、誰が雪を払ってくれるのか。家が壊れて近所に迷惑をかけたらどうしよう。でも、認知症になったら家を売ることもできないし……」という恐怖に近い不安。E様は、遠方に住む甥に相談しましたが、甥も「石狩の家の管理はすぐには駆けつけられない」と困惑。何とかして、自分の意識があるうちに、後のことを公的に決めておきたいとプロに相談しようと考えるようになりました。
当事務所からのご提案
「雪国の一人暮らし」という切実なリスクを、家族信託で「見える化」し、解消するプランを提案しました。
① 「空き家化」を即座に解消する売却権限の付与
E様が施設に入所、あるいは長期入院となった時点で、受託者である甥御様が即座に不動産を売却できる権限を設定しました。石狩のような雪国では、一冬でも管理を怠ると建物が急速に傷みます。判断能力が落ちた後に「成年後見人の選任」を待つのではなく、迅速に現金化してE様の介護費用に充てられるスピード感を重視しました。
② 冬の維持管理費の「自動確保」スキーム
信託した預金から、毎年冬の除雪代行費用や火災保険料を甥御様が管理・決済できる仕組みを構築しました。E様がいちいち現金を下ろしに行く手間を省き、受託者がスマホ一つで業者へ支払いを行えるようにすることで、E様の自宅が「冬の事故」に遭うリスクを最小限に抑えました。
③ 第三者による定期的な見守り体制の組み込み
甥御様が遠方であるため、石狩市内の福祉サービスや業者との連絡窓口を当事務所(信託監督人)がサポートする体制を提案。親族だけに負担を強いるのではなく、専門家が伴走することで、E様が「親戚に悪いわ」という引け目を感じることなく、安心してサポートを受けられる環境を作りました。
お客様の声
石狩の冬は本当に厳しく、毎年雪が降るのが怖くて仕方がありませんでした。先生に相談して、もしもの時の家のことを甥としっかり決められたことで、ようやく肩の荷が下りた気がします。甥も『これなら遠くにいても管理できる』と言ってくれました。法的なことだけでなく、私の寂しさや不安に寄り添った提案をしてくれた先生には感謝しかありません。