事例の背景
A様は、札幌に通勤するご家族のベッドタウンとして発展した恵庭市黄金エリアで、長年暮らしてこられました。お子様たちは現在、札幌市内で世帯を持っており、A様は一人で広い一戸建てを守っています。近年、雪かきの重労働や階段の上り下りに不安を感じ、将来は札幌の子供たちの近くにある高齢者マンションへ移り住むことも検討されていました。
しかし、「いざ移り住もうと思った時に、認知症で自宅が売れなくなっていたらどうしよう」という不安が頭をよぎります。札幌の子供たちも、仕事や育児で忙しく、恵庭の実家のことまで細かく面倒を見る余裕がありません。家族の絆を壊さず、かつ実務的な負担を最小限に抑えつつ、自宅の価値を守る方法を求めて当事務所へ相談にいらっしゃいました。
当事務所からのご提案
離れて暮らす家族が無理なく実家を管理できる「遠隔サポート型信託」を提案しました。
① 迅速な「住み替え」を実現する売却権限
A様の判断能力に関わらず、ご家族が「今が売り時だ」と判断したタイミングで自宅を売却できる権限を信託契約に盛り込みました。恵庭の不動産市況を逃さず、かつA様の介護状態に合わせた柔軟な住み替えを可能にしました。
② 住宅ローンの完済と「信託口口座」の活用
まだわずかに残っていた住宅ローンの処理を含め、信託財産から一括返済するスキームを検討。さらに、売却代金や余剰資金を「信託口口座」で管理することで、札幌の子供たちがスマホ一つで収支を確認・決済できる透明性の高い管理体制を構築しました。
③ 夏冬の「維持管理」のアウトソーシング化
受託者となったお子様が恵庭まで通わなくても済むよう、除雪業者や庭の手入れ業者との契約を信託財産から支払えるルールを確立しました。受託者は「判断」を行い、実務は「業者」が行う形に整理することで、お子様の負担を大幅に軽減しました。
お客様の声
札幌にいる子供たちには、自分たちの生活を大事にしてほしい。でも、私の家のことで迷惑はかけたくない。そんな矛盾した思いを、先生が『家族信託』という形で綺麗に整理してくれました。息子も、具体的な管理方法が決まったことで『これなら僕も手伝えるよ』と言ってくれました。家族の距離は離れていても、心は一つになれた気がします。本当にありがとうございました。