事例の背景
依頼者の長男様は、スウェーデンヒルズの美しい景観を誇りに思うお父様の「物忘れ」を心配されていました。このエリアは建築や植栽に厳しいルールがあり、手入れを怠ると街全体の資産価値に影響します。お父様自身も「この家を汚したくない」という強い思いがありましたが、年々、屋根の塗装や庭のメンテナンスを業者と契約し、進捗を管理することが負担になっていました。
「父が認知症になったら、誰がこの家のルールを守っていくのか。凍結されて修繕もできなくなれば、街に迷惑をかけてしまう」という長男様の焦り。お父様も、自分の意識があるうちに、信頼できる長男に管理を任せたいと考えるようになりました。独特の管理規定がある特殊な住宅地の事情を汲み取ってくれるプロを探し、当事務所へたどり着かれました。
当事務所からのご提案
美しい住環境を維持し続けるための「景観維持型信託」を提案しました。
① メンテナンス契約の「包括的な受託権限」
スウェーデンヒルズ特有の修繕ガイドラインに沿った工事契約を、長男様がオーナー代理として締結できる権限を設定しました。お父様が認知症になった後でも、長男様が「信託口口座」から費用を支払い、計画的にメンテナンスを継続できる体制を整えました。
② 将来の「居住継続」と「売却判断」の両立
お父様が元気なうちは今の家で暮らし続け、万が一介護が必要になった際には、長男様が迅速に売却して施設費用を捻出できる「売却権」を付与。お父様の生活の質(QOL)を守ることを信託の第一目的に据えた設計にしました。
③ 信託監督人による「管理規約」遵守のバックアップ
管理組合とのやり取りや、規約に沿った適正な管理が行われているかを当事務所(信託監督人)がチェック。長男様の事務負担を軽減しつつ、外部の専門家が関与することで、近隣住民や他の親族に対しても「適正な管理」を証明できる仕組みにしました。
お客様の声
この街のルールを守り続けるのは、年老いた父には想像以上の負担でした。先生はスウェーデンの住宅事情にも詳しく、私たちが大切にしたい『景観』という視点で契約をまとめてくれました。これで父も安心して暮らせますし、私も次世代の管理人としての覚悟ができました。法的な手続き以上の、心の安心をいただいた気分です。