事例の背景
依頼者の長男様は、長沼町の実家で暮らすお母様の「物忘れ」をきっかけに相談に来られました。実家は広い庭と一部の農地に囲まれており、お母様が認知症になれば、これらの不動産は一切売却できなくなります。成年後見制度も検討されましたが、「自宅を売るのに家庭裁判所の許可が必要なのは困る」「もっと柔軟にお袋の介護費を作りたい」という切実な悩みがありました。
お母様自身も「息子に迷惑をかけたくないが、自分の家がボロボロになるのは見たくない」という思いがあり、親子で当事務所を訪ねられました。長沼という土地柄、冬の管理や農地転用の難しさを理解した上で、実務的な「名義の整理」を求めておられました。
当事務所からのご提案
お母様を「委託者兼受益者」、ご長男を「受託者」とする家族信託を設計しました。
① 「受託者」への名義変更による売却権限の確定
実家の名義をあらかじめご長男(受託者)に移転させました。これにより、将来お母様が認知症になった後でも、ご長男が自身の判断だけで不動産業者と契約し、実家を売却できるようになります。裁判所の許可を待つタイムロスをなくし、必要な時にすぐ介護資金を作れる体制を整えました。
② 「信託口口座」による透明性の高い金銭管理
お母様の預金のうち、将来の施設費用分を「信託口口座(信託専用の口座)」へ移しました。この口座は受託者であるご長男が管理しますが、お母様(受益者)のためにしか使えない法的拘束力があります。お母様が認知症になり本人口座が凍結されても、ご長男はこの口座から直接、長沼の自宅の固定資産税や冬の除雪費用を支払うことが可能です。
③ 隣接する農地への「指図権」の設定
信託財産に入れられない農地についても、将来の相続時にご長男がスムーズに承継できるよう、信託契約の中で「どのような方針で管理・承継するか」をお母様の意思として明文化しました。家族信託を軸に、周辺の土地活用を含めたトータルな資産防衛ロードマップを提示しました。
お客様の声
母が元気なうちに、実家の判子を私(息子)に託せたことが何よりの安心です。先生が『所有権をあげるのではなく、管理を任せるだけ』と母に分かりやすく説明してくれたので、揉めることなく契約できました。長沼の冬の厳しさを知っている先生だからこそ、管理の重要性を親子で再認識できました。